心房細動の心電図って
意外と難しいですよね。
3つのポイントを覚えて
判読力アップしましょう!
心房細動の心電図を判読する3つのポイント
- 絶対不整(RR間隔がバラバラで規則性がない)
- P波が消失している
- 基線に不規則で細かい波(細動波:f波)が認められる
絶対不整を見つけたら、
心房細動の可能性が高いです!
心房細動では、
心房内に無秩序の興奮が
複数発生しています。
その興奮頻度は
1分間に360~600回
と言われています。
規則的な興奮が消失するので
P波は見えなくなって、
不規則な波(f波)が生じます。
心房の360~600回/分の興奮は
すべて心室に伝わるわけではありません。
房室結節というところで
電気の伝わり方が調整されます。
360~600回/分の回数で
心室が動いてしまうと、
収縮じゃなくて心室の痙攣(心室細動)
になってしまいますね。
房室結節での調節は、
心房からの伝導が
不規則かつ高頻度なため、
心室への伝導も不規則になってしまいます。
なので絶対不整を見つけたら、
心房細動の可能性が高い
と言われています。
絶対不整の心電図を見つけたら
「心房細動かな?」
と最初のうちは思ってもらったら
いいと思います。
鑑別を要する心電図
- 心房期外収縮の頻発
- 筋電図などの雑音(ノイズ)
絶対不整 = 心房細動
これだけだと間違えることもあります。
心房期外収縮の頻発だと不整になりますが、
こちらはP波がしっかりあります。
筋電図などの雑音は
基線に細かい不規則な波が見られます。
QRSは規則的なので
RR間隔をよく確認しましょう。
筋電図の場合は手足、
特に両手の力を抜いてもらうと
雑音がなくなりきれいな心電図になると思います。
心房細動によくある患者背景
- 弁膜症(特に僧帽弁疾患)
- 高血圧
- 甲状腺機能亢進症
弁膜症と高血圧は
心臓に負担(特に左心房)が
かかるので心房細動を発症しやすくなります。
甲状腺機能亢進症は頻脈になります。
その影響で心房細動を発症しやすくなります。
これだけは覚えておきたい合併症
脳梗塞
心房細動になると
左心房の血流が悪くなって
血栓ができやすくなります。
心房細動でできた血栓は
大きいので脳の血管に飛んでしまうと
脳の広い範囲で
脳梗塞が起こってしまいます。
心房細動が原因で
脳梗塞を起こした人の
約半数は死亡や寝たきり、
歩行不可など重い後遺症を残します。
病棟のモニター心電図などで
心房細動を発見した場合は
抗凝固薬が処方されているか
確認するといいかもしれませんね。
いろいろなパターンがある
心房細動の心電図は簡単そうで難しいです。
150bpm以上の頻拍だったり、
完全房室ブロックを合併して徐脈だったり。
いろいろな波形を見て
たくさん判読していきましょう!